くろしろとしろくろ

黒と白、白と黒の日々

私達の仕事は変革の物語の「紡ぎ手」であり、もっとも最初の「読者」でもある。

 毎年、考えることがある。私達の営みによって、世の組織の何が進展したのか。この一年で何が変わったのか。そして、その変化はこの先の何かに繋がっていくのか、と。不思議なもので、一年の半ばでふりかえると、その遅々とした歩みにたじろいでしまう。ところが一年の終わりに差し掛かったときに、この問いに向き合うと印象が変わる。歩みは遅い、しかし、進んではいる、と。

 この変化は確かに私達が介在したことで生まれたものだ。変化の大小は現実的に存在するが、しかし、私達の関与がなければゼロはゼロのまま、イチはイチのままだっただろうと確かめられる。そうした変化の足跡に、私達自身が勇気づけられることになる。それは、次の一年に向けての希望となる。

 比較するべきは、他組織や未来とではなく、自分自身なのだ。主語をあくまで自分として捉えたときに、組織にどれほどの変化が起きているのか。絶対値ではなく相対値として見る。組織変革とはWeb記事の中にある誰かの物語を糧とするのではなく、自分たち自身の「物語」を紡いでいくことだと思う。ここを捉え違えしてしまうと、その活動は遅れを取り戻し進捗を上げるためだけのものになってしまう。本来、組織変革ほど希望に満ちたものはない、というのに。

 私達が関わらせて頂いている「物語」の多くは、「分断」を繋げる試みにあたる。チームや組織の中の分断、組織と顧客、社会との間に生まれている分断、これらを適切に繋ぎ直すことに組織の中にいる人達と挑んでいく。こうした取り組みをともにするにあたっては、自ずと生ぬるい気持ちではやれない。ワークショップをちょっとやってみてお茶を濁すとか、そういうわけにはいかない。逆に言うと、その手の仕事に私達が関与する必要はないだろうし、ともすると緊張感の高い仕事が並ぶことになる。

 それでいて、組織変革とは私達にとっては他の誰かの「物語」にあたる。しかし、紡ぎ手の一角を担う意味では私達の「物語」でもあるし、その「物語」の読み手でもある。おそらく、もっとも早く「変化」の兆しを目の当たりにする「読者」になる。そして、物語の次の展開を妄想し、実際に筆を取るのだ。